犬のための食事療法!ドックフードを手作りごはんに変えるだけで病気は治るのか

まず、なぜ病気になるのかというところから説明しましょう。

そのほとんどの原因は排泄不良にあります。要するに、体の外に排出されなければならない余計なものが体内にたまっているのです。
したがって、今まで出し切れていなかったものを排出すれば、体のバランスは元の正常な状態に戻り、病気が改善する可能性も高くなります。

そこで、水分の多い食事をとる食事療法が必要になります。
体内にたまっている老廃物をオシッコとして出すことで、体がきれいに保たれる。それが、元の健康な体に戻るための大切な要素です。

また、病気を遠ざけるためにも望ましい状態といえるでしょう。
ところが、これまで多くの研究者はどうすれば症状を消すことができるのか、何の栄養を補えばいいのかという部分にばかり焦点を合わせてきました。

しかし、その方法では根本的な問題解決にならないこともあるかもしれません。

そうした枝葉の部分ではなく、なぜそうした症状が出てくるのかという原点にまで遡れば、いかに体内に蓄積された老廃物を排泄することが重要かがわかるはずです。

排泄に着眼点を置けば、ある特定の症状が抑えられるだけでなく、体質が根本から改善され、結果的にいろいろな病気を治すこともできるのです。

そのために手作り食は有益な選択肢であり、実際に機能してきたからこそ、ここまで多くの皆さんに支持していただけているのだと思います。

より深い部分に

そもそも私が食事療法に出合ったきっかけは、父が脳梗塞で倒れたことにあります。高血圧、高脂血症なので、この薬とこの食事でという医師からの指示を守っていたのにどうしてという気持ちになりました。

そんなとき、食事を変えるという視点に気づいたのです。実際に食事療法によって、父の症状は明らかに改善しました。薬で治らなかったものが食事でよくなるという経験をしたのです。

そのとき、大学院でアレルギーの研究をしていた私は、アレルギーの動物にも同じように食事療法を試してみようと思いました。すると、やはり病気が改善したのです。単にアレルギーを薬で抑えるだけでなく、なぜその症状が出ているのかというより深い部分に焦点を合わせれば根本解決につながるのではと感じました。

以来、食事療法の研究を重ね、1999年から実践しています。その結果、3年間も結石症を患っていた犬が数週間で完治したり、ガンで余命宣告されていた犬が元通り元気になるのを何度も見てきました。

漢方に「異病同治」という言葉があるのですが、食事療法はまさにそれに当てはまります。

食の過ちにはすべての病を生む側面があります。今まで何を誤ってきたのかを考えることが、問題を解決するのではないでしょうか。

ワンポイントアドバイス
療法食を食べていた犬は手作りごはんに切り替えたとき、いろいろな症状が出る可能性が高くなります。それは今まで、療法食によって抑えられていたものが表れたということ。当たり前の反応であり、あわてる必要はありません。その点をよく理解した上で、手作り食に取り組んでもらいたいと思います。

なお、薬との併用に関しては食事療法に精通した獣医師に相談してください。

食事だけでは治せない犬の病気

骨折などの外科的な要因は食事では治せないのは、皆さんもご存じのとおりです。その他にも、見た目には何の病気だか判断しづらい「脳障害」「認知症」「内分泌疾患」なども食事療法では治しにくい病気です。

なぜなら、手作り食にはパワーがありますが、その効果はとてもマイルドなもの。急にがらり一変するというわけにはいかないのです。あらゆる病気が食事を変えれば治せるだろうと過剰な期待をしないでください。

たとえば、折れてしまった骨を食事で修復するのが不可能なように、脳のような神経ネットワークが途中で切れてしまった場合に再びつなぐことは難しいのです。ホルモン系の病気で臓器を元に戻すのはとても困難ですし、老化に対しても完全に元通りにするのはやはり難しいのです。

いわば、自動車のタイヤは替えられても中枢のコンピュータが壊れると複雑すぎて直せないようなもの。同様に動物の体内にも回路が複雑な部分があり、それが脳神経系とホルモン系なのです。

この2つの分野に関しては食事だけで何とかするのは極めて難しいでしょう。のみならず、一般的には病因が特定できず、根本的な治療法も確立されていないということを知っておいてもらいたいと思います。

一方、食事療法が特に効果を発揮する分野もあります。内臓系慢性疾患、人でいう生活習慣病はほとんど対応が可能です。日々の積み重ねから起こるこれらの病気の予防やケアを行なうことは、愛犬が健康に長生きするためにとても重要になります。

どんなシグナル(警告)があるの?

脳障害

  • 手足がしびれて、震える。
  • 何にでもやたらにおびえる。
  • 痛みを感じなくなる。
  • 声をかけても無反応になる。
  • 眼球が左右に細かく揺れる。

脳障害

  • やたらに吠え続ける。
  • 判断力を失い、ぼーっとする。
  • 口の締まりがなくなる。
  • よだれをたらし始める。
  • 突然、奇妙な行動をとる。

内分泌系疾患

  • 極端に体が大きい、小さい。
  • 虚弱で病気にかかりやすい。
  • 体がぐったりとする
  • 毛が大幅に抜ける。
  • やたらに水を飲みたがる。

一般的な治療方法は?

以上のような病気は、根本的な治療法がまだわかっていません。

脳神経系の病気には抗うつ剤等を投与したり、内分泌系の病気には不足ホルモンの注射などの対症療法しかないのです。
果たして、症状を抑えるだけの治療が愛犬にとってよいことかどうか。

こうした薬の多くは副作用が働き、長期間続けると効かなくなる場合もあります。

本来、治りにくい病気の犬にはいつも誰かがケアすることが一番大切です。飼い主さん自身が落ち込まないよう、いかに一緒の時間を楽しく過ごせるかを考えることがお互いハッピーでいられるコツかもしれません。

予防のための安心・安全のドックフードは?

最近の研究では、これらの病気の要因として感染症が疑われてきています。

では、感染症の入り口となる部分とは?粘膜であり歯、そして食べ物にも気をつけなければなりません。
具体的には、粘膜を強くするビタミンAとβ‐力ロテンの多い食べ物を積極的にとること。

歯周病対策の歯みがきも大切。

また、体調不良の子には病原体を含む可能性のある食材はおすすめできません。生食よりも加熱調理がおすすめです。
あとは、体内に毒素をため込まないことが大切。病気になるリスクを最小限にするためにも、手作り食は有効な手段です。