犬がドッグフード(餌)を食べない原因はわがまま?ストレス?病気?

愛犬の食欲がなくなる、ドッグフードを食べない、というのは犬を飼っていると一度は経験することでしょう。幼犬、成犬、老犬問わず起こりうることですが、病気の中には症状に「食欲不振」とあるものもあり、つい「何かの病気では?」と心配になってしまうものですよね。

しかし犬がドッグフードを食べない理由は必ずしも病気とは限りません。中にはわがままだったり、グルメだったりという場合も…。ここではそんな、犬がドッグフードを食べない理由とその対策についてご紹介します。

犬がドッグフードを食べない原因

食は生物が生きる上で欠かせないものです。通常、肉体的にも精神的にも異常のない状態であれば問題なく食べてくれるはずですが、食べないからには何かしらの理由があります。

犬がご飯を食べないとき、考えられる要因は6つあります。

  • 体調が悪く何か病気を患っている
  • 食べ好み(わがまま)していて、飼い主さんに甘えている
  • 精神的にストレスを抱えている
  • ドッグフードが合っていない
  • シニアになり嗅覚が鈍っている
  • 歯(歯茎)が痛い
どれか思い当たるものはありましたか?これ以外にも理由は考えられますが、特殊なケースでもない限り、このいずれかに当てはまります。それぞれの要因について、順番に詳しく見ていきましょう。

体調が悪く何か病気を患っている


いつもは食欲があり、いつもと同じドッグフードや生活リズムなのに食欲が急になくなった場合、まずは体の不調がないかを確認しましょう。

  • 下痢、軟便、血便、便秘などお腹の調子が悪い
  • 便の臭いや色がいつもと違う
  • 便に寄生虫や異物(おもちゃの欠片など)が混ざっている
  • 嘔吐が続いている
  • 熱がある
  • 目ヤニが沢山出ている
  • 目が充血している
  • 急に痩せてきた、太ってきた
  • 明らかに元気がない
食欲がないことに加えてこれらの症状が見られたら、まずは獣医さんに相談しましょう。何かの病気が原因で食欲が落ちている可能性も考えられます。

嘔吐に関しては空腹により、胃液(白い泡のような液体)や十二指腸液(黄色い液体)を吐くこともあり、胃の不快感から食欲が低下してしまう犬もいます。頻繁であったり、数日続いたりしなければ心配はないでしょう。

しかし未消化の食べ物をほとんど吐いてしまう場合には気をつけて様子を観察し、繰り返すようであれば獣医さんへ連れて行きましょう。また血液が混ざっていたり、異物(おもちゃの欠片など)が混ざっていたりする場合も、すぐに動物病院へ連れていってあげましょう。

下痢は通常柔らかい程度であれば犬にはよくあることですが、食欲の急な低下や元気がなくなる、ラズベリージャムのような血便や嘔吐を伴う場合には要注意です。急激に容体が悪化する膵炎や出血性大腸炎など、命に関わる病気の可能性もあるので、すぐに獣医さんへ行く必要があります。

また子犬や老犬の場合には抵抗力も弱く、下痢による脱水などにも陥りやすいため、早めに原因追究して対策する必要があります。

食べ好み(わがまま)していて、飼い主さんに甘えている


特に他の症状が見られず、元気もあるのにドッグフードを食べないというのは賢い犬の場合によく見られます。犬の中でも知能が高い犬種と言われるプードルには、この食べ好みがよく見られます。

以前に愛犬がドッグフードを残した、食べなかったからといって「お腹がすいたでしょ」とおやつをあげたり、別の種類のドッグフードに変えてみたりしたことはありませんか?もしくはトレーニングやしつけの際に、美味しいおやつを沢山あげていませんか?

おやつや違うドッグフードは食べるのに、いつものドッグフードは食べないのであれば、それは食べ好みをしています。

「ご飯を食べなければ美味しいおやつが出てくる」「何かトッピングしてもらえる」「どうせトレーニングで美味しいおやつを沢山もらえる」と愛犬は知っているので、目の前のドッグフードは頑なに食べません。愛犬の肉球の上で飼い主さんは転がされてしまっている状態です。

別のドッグフードをちゃんと食べ続けてくれるのであれば、栄養面での問題ありませんが、まだ1袋も終わらないうちに飽きてしまって食べなくなることもあります。そうなると、飼い主さんはフードジプシーになってしまうことも少なくありません。

また、おやつばかりでは必要な栄養は接種しきれず、愛犬の健康を害してしまう恐れもあるため、きちんとご飯を食べる習慣をつけておきたいところです。ご飯を食べないでおやつを欲しがるようになったら、おやつは絶対に与えないようにしましょう。

しかし美味しいおやつにも見向きもしなかった場合には、本当に食欲が低下してしまっている状態です。どこか他に不調はないか。よく観察し必要であれば獣医さんへ相談しましょう。

精神的にストレスを抱えている


ストレスで沢山食べてしまう人もいれば、逆に食欲がなくなってしまう人もいますよね。犬の中には非常に繊細な犬、怖がりな犬もいます。そんな犬は次のようなちょっとしたことで、食欲が低下することもあります。

  • 近くでお祭りや花火大会があった
  • 近くで工事をしている
  • 留守番の時間が長い
  • 一日中ケージの中で過ごしている
  • お散歩にあまり連れていかない
  • 新しい犬や人間の家族が増え、かまう時間が減った
  • いつもの生活リズムが何かしらの原因で崩れた
このようないつもと違うことが起きたり、日常的にストレスが溜まりやすい生活になったりしてはいませんか?

社会化が上手くいかず外を極端に怖がる犬の場合には、どんなに大好きなおやつでさえも外では食べられなくなってしまうような場合もあります。中には東北大震災の後、アラートの音を覚えてしまって鳴るたびに怯えてしまったり、体調を崩したりした犬もいるほどです。

愛犬が何かを怖がったり、ストレスに感じる場合にはストレスの原因を取り除いたり、時間をかけて怖いものに少しずつ慣れていくような対策が必要でしょう。私たちが思う以上に繊細な犬もいるので、愛犬がストレスなく安心できるような環境を整えてあげたいですね。

ドッグフードが合っていない


新しいドッグフードを買ってきたのに、食べてくれないという犬もいます。本当に合っていないということもありますが、ほとんどのケースでは適応できていないだけで、継続していけば食べてくれるようになります。

急に全部切り替えてしまうと、お腹がびっくりして下痢を引き起こすこともあります。ドッグフードの種類を切り替える際には、まず新しいを少量混ぜて徐々に割合を増やしていき、1週間くらいかけて切り替えましょう。

偏食や少食の犬の中には質の悪いドッグフードや酸化した油脂の臭いなどが嫌で食べないという犬もいます。この場合には質の高いドッグフードに変えることで解決することが多いと言われていますが、その中でもあれこれと変えて、フードジプシーに陥るのは避けたいところです。

飼い主さんが納得できる質のドッグフードをあげるというのが大前提ですが、愛犬が食べるまで次々と新しいドッグフードを与えるのはやめましょう。

シニアになり嗅覚が鈍っている


犬は嗅覚の動物です。生まれてすぐの子犬は目も耳の穴も開いていない中、嗅覚だけで母犬の元へ行き母乳を飲んで育つほど、犬にとって生きていくために欠かせない感覚なのです。しかし残念なことに、年齢とともに五感は鈍っていき、嗅覚も徐々に衰えていってしまいます。

匂いのしない食事は魅力がないものでしょう。犬ほど嗅覚が優れていない人間でも、鼻が詰まっていると食べ物が美味しく感じられないという経験はありませんか?もし老犬の食欲が落ちた場合には病気の可能性の他に、嗅覚が鈍っている可能性もあるかもしれません。

飼っている犬がシニア犬のときはこちらの記事を参考にしてみてください。

7歳からのシニア犬(老犬)におすすめするドッグフードと正しい選び方

歯(歯茎)が痛い


シニアになってくると嗅覚の衰えとともに多いのが歯のトラブルによる食欲不振です。早い犬では3歳頃から、歯周病で歯がぐらついてくる犬もいます。食事をするときに歯がグラグラする違和感や痛みからドッグフードを食べようとしない犬もいます。

よく噛んで食べる犬はもちろん、丸飲みする犬も口に入れる際に前歯に当たるのを嫌がって食べないことがあります。いつも顔を触るのは嫌がらないのに急に嫌がるようになったり、口臭がきつくなっていたりする場合には歯の状態を確認してみる必要があります。

ドッグフードを食べさせるための方法4選

愛犬の食欲がないけれど、体調が悪いわけでもない。そんなときにお家でできる食欲改善方法を4つご紹介します。

偏食、わがままであれば絶食させる

おやつやウェットフードは食べるけどドライフードは食べない…。そんなときにはまず絶食させましょう。わがままを言っているだけですので、本当に耐えられなくなったら、好き嫌いを言わずに食べてくれます。

  • いつも通りにドッグフードを出す
  • 5分ほどで食べなければ下げる。

これを繰り返すことで、出されたときにきちんと食べる習慣をつきます。愛犬との根比べになりますが、健康な成犬であれば1日~2日何も食べなくても大丈夫です。

絶食時の注意点

  1. お水は常に欠かさないように置いておく。
  2. 小さな子犬や体力のない老犬の場合には低血糖などの危険もあるため、絶食は避ける。
  3. 成犬も体調不良の場合には栄養摂取を優先する。
また成長期の子犬から成犬になる頃に食事量が安定し、減る場合もあります。これは自然なことなので心配はありません。パピー用フードからアダルト用フードに切り替えるなどして調節してあげましょう。

おやつや人間の食事をあげない


朝ごはんを食べなかったからといっておやつをあげたり、トレーニングやしつけの際におやつを多用していたりする場合には一旦止めましょう。

おやつについては以下の記事で解説しています。

犬用おやつの正しい与え方や回数・知っておきたい注意点

ドッグフードを食べていないとお腹がすいてかわいそうに感じてしまうかもしれませんが、だからといっておやつばかりあげていてはいつまでたっても改善されません。それどころか犬にとって必要な栄養バランスを崩し将来的に病気を招いてしまう可能性もあります。

犬にとって必要な栄養は「たんぱく質>脂質>炭水化物>ビタミン>ミネラル」の順で構成されています。ジャーキーばかりあげればお肉ばかりになり、クッキーばかりあげれば小麦粉ばかり摂取することになってしまいます。

トッピングで興味をもたせる

中には絶食をして胃液を吐いても頑なに食べない!という頑固な犬もいます。成長期の子犬や体力の低下している老犬は特に心配になってしまいますよね。そんなときにはドッグフードに少しトッピングを加えて興味をもたせましょう。

ただ美味しいものを追加するのではなく、愛犬にとって栄養になるもの、意味のあるものを追加してみましょう。例えば下記のようなものをトッピングすると食いつきが良くなります。

  • ティースプーン半匙程度のヨーグルト
  • 乳酸菌パウダー
  • ヤギミルク
  • お肉系や甘味のある野菜系のふりかけ
  • ウェットフード
  • 鶏肉のゆで汁
また質の高いドッグフードであれば、ぬるめのお湯で匂いを引き立たせるのも効果的です。あまり熱いお湯では栄養素が壊れてしまうので50℃くらいのお湯にしておきましょう。トッピングや温めて匂いが強めになることで、嗅覚の衰えてきた老犬の食欲も戻る可能性があります。

子犬や成犬の場合には、出されたらきちんと食べるという習慣をまずつけてトッピングは徐々に減らしていき、いずれはトッピング無しで食べられるようにしましょう。

ドッグフードの質を見直す


あなたが与えているフードはどんなものですか?質の悪いドッグフードの中には犬の主食である動物性たんぱく質(肉や魚)がほとんど含まれておらず、小麦粉やとうもろこしが主原料となっているものもあります。

犬は嗅覚の動物ですから、とうもろこしなどの穀類が一番多い成分となっていたり、質の悪い肉を使用したりするフードでは食欲が出ないこともあります。

また今あげているドッグフードは油っぽくありませんか?ドッグフードは空気に触れることでどんどん油分が酸化し、質が低下していきます。酸化したドッグフードは健康にも悪いので、愛犬が1ヶ月で食べきれる量を目安に購入しましょう。

手に持ったときにベタっと油がつくようなドッグフードは最後に油を吹き付けている可能性もあります。安価なドッグフードでは何の油を使っているかも分からず、またその油の酸化を防ぐために人工酸化防止剤を使っているようなドッグフードも…。

動物性たんぱく質を多く含み、人工添加物を使用していない質の高いドッグフードを探してみるというのも1つの手です。

ドッグフードの選び方は以下の記事で解説しています。

安心安全なドッグフードの選び方とパッケージ表記のカラクリ

歯磨きを習慣にする、歯の治療を受ける


食欲不振の原因が歯の痛みからきている場合には、その痛みの原因を取り除いてあげる必要があります。基本的に歯周病によって一度ぐらついてしまった歯は、歯の根っこが溶けてきてしまっており、抜歯となる場合が多いです。

歯周病は放置しておくと最悪の場合は顎の骨を溶かし顎の骨折を招いたり、上顎の骨を溶かしていき頬の穴が開いて膿が出てくることもあります。しかしそうなる頃にはかなりの高齢になっている犬も多く、麻酔のリスクと治療の間で悩むことになってしまいます。

一昔前までは犬に歯磨きという習慣は一般的ではありませんでしたが、今では犬にも歯磨きが必要という認識が広がってきています。愛犬が辛い思いをする前に毎日の歯磨きを習慣にしておきましょう。

食は生物の基本

食べるという行動は生きていく上では欠かせないものです。愛犬がドッグフードを食べてくれないと「体調が悪いのかな?」と心配になってしまうのも自然なことだと思いますし、食欲不振が何かの病気の知らせとなることもあります。

しかし食べないことに飼い主さんがナーバスになりすぎてしまうことも、愛犬には伝わってしまいます。それがストレスになって、さらにご飯を食べなくなる犬もいますので、飼い主さんが神経質にならないことも重要です。

わがままで食べない場合は「なんで食べてくれないの」とイライラするよりも、「じゃあ食べないのね」と、ドッグフードをさっと下げてしまうくらい、ドライに対応することも時には必要です。

もちろん適度な運動とストレスのない生活を心がけ、愛犬をよく観察することで「なぜ愛犬が食べないのか?」を見極めてあげるのも忘れないようにしましょう。態度はドライでも、ちゃんと愛犬のことを考えてサポートしてあげれば、犬はきちんとそれに応えてくれます。