無添加だからといって犬の手作りご飯の作り方を間違えると危険を伴う

ドッグフードの普及により、犬の平均寿命は過年ぐらいに延びています。しかし、その一方でアレルギー性の皮層疾患の多発、外耳炎、歯周病、がん、原因不明の疾患など、難しい病気が増えています。特に、アトピーやアレルギー性皮層疾患は猛威を振るっています。動物病院や改良型ドッグフードも再発を抑えることが難しいのが現状ではないでしょうか。

このような愛犬の苦しみを緩和する方法として「手作り食」が注目されています
薬や治療が効かない病気が、手作り食で改善する例がよくあります。犬がドッグフードより喜んで食べることが多いのも広まる背景となっています。

塩分不足が突然死を生む

では、手作り食でアレルギーなども改善されハッピーエンド、と思いたいところですが、残念ながらそううまくはいきません。手作り食に切り替えた子が、3カ月〜半年後に病院に運び込まれるケースが相次いでいます。最悪の場合、突然死に至ることもあります。

よく聞く代表的な話は、「手作り食にして苦労していた皮層病が治ったんですが、でも、わりと若い年齢で急に」。
この主な原因は生肉の与えすぎや肉オンリー食で起こります。

手作り食を始めると、病気もよくなり、犬も喜んで食べます。そして、さらに犬が肉を喜んで食べるため、肉を主食にしてしまうというケースです。先日も、3匹のチワワの食事を肉オンリーに替えたという飼い主さんから相談がありました。肉食に変更してから、次々に犬を失ってしまったというのです。

現在スーパーなどで売られている肉は精肉といい、オオカミが野生の時代に食べていた本来の肉とは大きく異なります。臭みを消すために、血液成分がすべて抜き取られた細胞だけの肉です。このことで重大なミネラルのアンバランスが生じています。

血液を抜き去ったことでナトリウム(塩分)のほとんどが失われてしまうのです。
このミネラルの中のカリウム過多な精肉だけを食べていると、心臓停止という突然死が起こりやすくなります。カリウムは心臓停止を引き起こすミネラルで、必ずナトリウムとのバランスをとることが必要なのです。

肉を与えるときはお味噌汁の3分の1程度の塩味になるように、塩(つまり塩化ナトリウム)を加えるとカリウムのとりすぎによる突然死や心臓の不調を防止することができます。

犬の手作り食こそ栄養バランスを

実際のところ、ドッグフードは、とても綴密につくられています。タンパク質量、脂肪量、炭水化物、ビタミンが複数配合され、ミネラルも厳密なバランスで含まれています。実は、ドッグフードにより犬が長寿化したのは、このあたりの重要な栄養成分を厳密に配合し、栄養欠損を起こさせないというところが徹底されているためです。長年の経験を通じたこの知識の蓄積は素晴らしく、さらには、過剰になると危険な栄養成分の配合量も計算されています。

犬は寿命が人間よりも短い分、人間よりも6倍も速く代謝し、細胞が早く入れ換わります。毎日のわずかな栄養の欠乏や過剰が、2年、3年と積み重なることで、愛犬の健康を損なうケースもあります。

このような微妙な歪みへの対処が、手作り食では困難になりがちです。手作り食で、長期の健康と寿命を維持するには、かなり真剣に基本となる犬の栄養学の習得に取り組む必要があります。