体重4~5kg程度しかない正真正銘の小型犬でありながら、これほど番犬として有能な犬はいません。ビロードのような光沢の美しい被毛にすらりとした四肢は、まるで優美なバンビのようですが、その中身はドーベルマンにひけをとらない、立派なドイツ原産の犬なのです。

ミニチュア・ピンシャーはドーベルマンを小さくした犬ではない

大型犬のドーベルマン・ピンシャーとそっくりな姿をしているため、ドーベルマンを小型化した犬と思われがちですが、そうではありません。ドーベルマンの原型が作られたのが19世紀末なのに対し、ミニチュア・ピンシャーらしき犬は17世紀に描かれた絵画にすでに登場しています。

それだけ古い犬種のせいか、じつのところミニチュア・ピンシャーの出自については詳しいことがわかっていません。しかし、作出に関わったとされる犬種についてはだいたいのところが判明していて、ジャーマン・ピンシャーというドイツ原産のかなり古くから存在している足の長いダックスフンドのような犬と、ダックスフンド、イタリアングレイハウンドが掛け合わされているようです。

これに対しドーベルマンの作出にはジャーマン・シェパードとジャーマン・ピンシャー、マサチューセッツ・テリア、グレイハウンド、ワイマラナーなどが掛け合わされています。かぶっている犬種はジャーマン・ピンシャーぐらいですが、イタリアングレイハウンドとグレイハウンドも大きさの違いはあれどよく似た姿をしていますので、その結果としてミニチュア・ピンシャーとドーベルマンが似たのかもしれません。

ミニチュア・ピンシャーは19世紀の後半頃から、小型化ばかりに重点をおいたブリーディングされました。その結果次々と体に欠陥のある個体が生まれてしまい、ミニチュア・ピンシャーにとっては冬の時代がやってきます。しかし、20世紀に入るとその傾向は下火となり、あらためて優美さを追求した、健全なミニチュア・ピンシャーを生み出すためのブリーディングへとスイッチしていきました。

ミニチュア・ピンシャーの性格

本当は大型犬のドーベルマンを飼いたいけど、スペース的に無理だから小さなミニチュア・ピンシャーにした――。そんな飼い主は、そのパワフルさに圧倒されることになるでしょう。ミニチュア・ピンシャーを説明するさいに、「小型自動車に大型自動車のエンジンを積んでいるような犬」と表現することがありますが、まさしくその通りです。

ミニチュア・ピンシャーはまるでバンビのように小さくて優雅な姿をしていますが、ありあまるパワフルさで始終飛び回っているような犬です。室内でおとなしくしている姿を期待していると、圧倒されるようなエネルギーに振り回されてしまうことになるでしょう。

好奇心旺盛で怖いもの知らずの性格は、ときとして自分より何倍も大きな相手にすら立ち向かっていくことがあります。そのため、飼い主による抑制がきかないと攻撃的になることがありますので、ミニチュア・ピンシャーの良きリーダーになろうと思ったら、それなりに犬と暮らすための覚悟と知識が必要なのかもしれません。

そんなわけで、初めて犬を飼う人が何も知らずにミニチュア・ピンシャーを選んでしまうと、あふれ出すようなエネルギーに右往左往させられて、ヘトヘトになってしまうことも珍しくありません。ミニチュア・ピンシャーの姿形は小型犬ですが、それなりにしっかりと発散させてやることができる飼い主を必要としているのです。

ミニチュア・ピンシャーを飼育するうえで注意すること

ミニチュア・ピンシャーは犬種固有の疾患などは特にありませんが、注意しなければいけない病気はいろいろとあります。かかりやすい疾患のひとつにレッグ・ペルテス病(レッグ・パーセス病)があります。これは大腿骨頭(太ももの骨が骨盤と連結している部分)の血行がなんらかの原因で阻害されることにより、大腿骨骨頭が壊死してしまう病気です。

また、細い四肢からもわかるように、膝蓋骨脱臼(パテラ)にも気をつけなければいけません。ミニチュア・ピンシャーは放っておいても勝手にピョンピョンと飛び跳ねるような犬ですから、なおのことパテラを悪化させやすいのです。

レッグ・ペルテス病にしてもパテラにしても、とにかく症状が出ないように、そして出てしまった場合には悪化させないための対策が不可欠です。フローリングの床は滑りやすく、これらの疾患を確実に悪化させてしまうため、ミニチュア・ピンシャーと暮らす空間はカーペットを敷いたり滑り止めを活用したりして、出来る限り足が滑らない工夫をしておいたほうがよいでしょう。

ミニチュア・ピンシャーにおすすめなドッグフード

ミニチュア・ピンシャーの中には皮膚が敏感な個体が比較的多く見られます。そのため、食べさせるものはアレルギーを引き起こしにくく、さらには四肢の疾患を防ぐためにも、健全な骨格と筋肉を作り出せる栄養素を必要としています。

ミニチュア・ピンシャーに最適なドッグフードとは

  • 強い骨と筋肉を作るために、良質の動物性タンパク質が多く含まれている。
  • 皮膚疾患予防のためにもオメガ3脂肪酸の含まれた亜麻仁やサーモンオイルなどの油脂が含まれている。
  • 腸内環境を悪化させやすい、消化に悪い穀物が使われていない。
  • 人工の添加物が使われていない。

小型犬でありながら、大型犬にもひけをとらないダイナミックさがミニチュア・ピンシャーのよいところです。しっかりと運動をさせて強い体を作るとともに、知的欲求を満たすためにも単調にならない遊びを取り入れることで、心身ともに健全なミニピンに育てあげることができます。