馬肉といえば人間にとってもヘルシーで高級な食材というイメージですが、もちろん愛犬にとっても非常に優れた食材であると注目を集めている食材です。

馬肉は、脂肪分が少ないのでヘルシーな上に、アレルギー発症リスクが少ないこともあり、
アレルギーに悩む飼い主にとって欠かせない存在なのです。

一般的には、犬の馬肉を与える際には、生の状態で与える事が多いので、その際のメリット、デメリットを考えてみましょう。

馬肉を与える事のメリット

馬肉を与える際のメリットといえば、やはりその優れた栄養価でしょう。

馬肉は、牛や豚に比べ脂肪分が少ないので、気になる肥満の予防や脂肪分の接取過多による涙やけ、耳内トラブルの発症予防に効果があると言われています。

また、カルシウムの含有量は牛や豚に比べ3~4倍も多く含まれています。鉄分も牛、豚、鶏に比べ3~4倍も多く含まれていて、ヘルシーでありながら非常に高栄養な食材なのです。

ダイエットをしなければならないけれども、肉を食べさせてあげたいという場合には、牛や豚、鶏肉よりもヘルシーな馬肉に切り替える事で、同量の食事量でありながら、効率的にカロリーをカットする事が出来ます。

また、シニアになり脂肪分を控えヘルシーな食事をさせたい、消化吸収に負担がかからない食材を選びたいという場合にも馬肉はおすすめです。

食材の栄養素は加熱する事で消滅してしまうものですが、馬肉の場合、馬自身の体温が牛や豚に比べ高い事から、細菌や寄生虫のリスクが低く、加熱をせずに安全に与える事が出来るとされています。つまり、食材そのものの栄養素をしっかりと吸収できるのです。

また、牛や豚、鶏に比べて生産量が格段に少ない事から、品質に関してもさほど劣悪なものが出回る事がないとされているので、犬用という分類で販売されている場合でも安全性の高い製品が多いと言われています。

最近では、犬用馬肉が多数市場で販売されていますが、大抵の場合は人間の可食部位を加工した際の切れ端であったり、残り部分が製品化されている場合が多いので、品質に関しても安全性が高いといえるでしょう。

ただ、生産量が少ない事から、コストが高く、馬肉と主原料としたドッグフードを製造するには、原材料の安定供給が難しい事、販売価格が相当な高額になる事からなかなか実現は難しいと言われています。

馬肉は余計な脂肪分が少なく、生食が可能で、消化吸収にも優れていることから、継続して与える事で、徐々に毛並みがよくなった、涙やけが改善した、便の不調が改善したなどの健康面での改善が見られることが多いようです。

また、競技など本格的なスポーツをしている犬の場合、体形の維持を効率的な消化吸収という面からも馬肉が適していると言われています。

馬肉を与える事でのデメリット

馬肉を与えるうえでのデメリットも若干ですがあるという事を覚えておきましょう。

まず第一に、馬肉を主食として与える場合、それなりの費用がかかるという点です。

たとえ、人間の可食部位を取り除いた後の残り部分とはいえ、生産量が少ない食材ですから、販売価格もそれなりに高騰してしまうからです。

毎食馬肉だけで調達するとなると、月の食費は数万円単位にもなる事でしょう。

また、生肉を食べる事で共通してみられる症状として、下痢や軟便という症状が見られる場合もあります。与え始めの一時期で治まる場合もあれば、与えるたびに軟便になってしまう体質の場合もあります。薬で治療をする必要はありませんが、あくまでも体質の一種と考え、給餌量を調整してあげましょう。

万が一、あまりに重度な症状が続くようであれば、寄生虫などの可能性も考え、動物病院での検便検査を受けましょう。

馬肉は非常にヘルシーで栄養価の高い食材ではありますが、やはり過剰摂取は危険でもあります。馬肉に限らず、特定のタンパク源のみに偏った過剰摂取は、アレルギーを引き起してしまうリスクが高くなります。馬肉だから安全なのではなく、適度な量で接取する事で安全だという事を覚えておきましょう。

また、肉類の過剰摂取は、尿路結石という病気の発生にもつながります。接取したタンパク質がカルシウムを結合し、体内にあるシュウ酸が尿の中に吸収されてしまい結果的に結石となってしまうのです。

馬肉はカルシウムの含有量が高い事から、この結石のリスクが高いとも言われています。

しかし、どの程度の量を与える事で過剰摂取になるのかという明確な基準がない事から、なかなか給餌量の算定が難しい面もあるのですが、この点は、愛犬の健康状態、体重の変化、便や尿の状態をこまめに観察し、異変があればすぐに動物病院へ相談をするという事を心掛けておく事で回避できるでしょう。

愛犬の健康を考えるうえで、馬肉は非常に優れた食材と言えるものなので、体質や体調に合わせて、適度に活用してゆきたいものです。

犬用生肉フードの落とし穴

ペット専門に生肉を配送する業者も登場しており、これも一種のナチュラルブームの延長線上にある現象でしょう。

生肉食の製品は、私の知るかぎり40年ぐらい前からありました。一般には出回らず、ブリーダーや一部多頭数飼育の愛好家の間で使われてきました。最近では、その生肉食が、一般の愛好家の間にも広がりを見せています。

しかし、生肉食は大きな危険を孕んでいるということを、一度、考えたほうがいいと思います。生肉の多くは家畜肉ですが、いくら家畜肉が法的に管理・処理されているからといっても、まったく安全だとは断言できないからです。

輸入家畜肉の場合、各国が同一基準で管理しているわけではありません。たった一頭の狂牛病のために、日本はアメリカ産牛肉を輸入規制の対象にしましたが、日米間でその是非について議論が沸騰しているのを見ると、国によって考え方が異なることを痛感させられます。

日本でも問題点が指摘されています。

ジャーナリストの甲斐隆一氏は、「畜産現場ではなぜ、人の二倍の抗生物質が使用されてきたのか?」と題したショッキングなレポートのなかで、次のように指摘しています。

平成14年度の調査では、300体あまりの家畜で、サルモネラなど4種類の菌について調査した結果、家畜のおよそ60%が何らかの耐性菌を持っていることがわかった。

最も多く検出された大腸菌では、21種類の抗生物質に対する耐性菌が発見され、また腸球菌という菌では、抗生物質の一種、バンコマイシンに対して〃高度の〃耐性を持っている菌も見つかっている。人の医療現場で最も警戒されている菌だ。

日本の畜産現場では、生産性を上げるため、これまで大量の抗生物質が家畜に与えられてきました。これに対して農林水産省は、昨年、人間の治療に使う抗生物質は、一部ですが家畜に使わないことを決めたようです。

しかし、生肉と耐性菌の関係については、常に念頭に置いておいたほうがいいでしょう。

とりわけ犬や猫の体調が芳しくないとき、あるいは病中、病後、妊娠中などは、生肉を与えるべきではないでしょう。万が一、耐性菌に感染した場合、抗生物質が効かないため、治療の施しょうがなく、ペットを死に至らしめる可能性もあるのです。耐性菌に汚染された生肉を素手で触ることも、当然、危険性を伴います。

ともあれ、生肉を愛用する方は、「犬の祖先は肉食だったから」という言葉に踊らされないようにするべきですが、逆のしかりもあり!老犬には生肉が良いという意見もあります。