こんなにあるの?犬が食べてはいけないもの一覧

ここでは、人の食べ物でありながら、犬にとっては望ましくない食べ物を解説します。

犬は人と同じ哺乳類ですが、体の消化吸収のシステムは細部が違います。体内の代謝は意外に融通が利きません。

人ならふつうに分解できるものが、犬にとっては有毒物質であることが多々あります。そして分解されない有害物質が体内をめぐってしまい、致命的なダメージをもたらすことがあるのです。

評価基準については、下記を参考にしてください。

ちょっとした配慮があれば、与えても問題のない食べもの。
犬の体に悪いわけではないが、反応に個体差があったり、与え方によっては悪影響のある食べもの。
×あきらかに犬の健康に害をおよぼす、あるいはその可能性の高い食べもの。

犬が食べてはいけないもの一覧

ここでは、日々の診察でよく遭遇することがあり、かつあぶない食べ物をいくつか紹介しましょう。

不凍液

不凍液の成分であるエチレングリコールはほんのりと甘味があります。

これは比較的犬や猫が好む味なので、間違って飲んでしまうことがあります。エチレングリコールが体の中に入ると、代謝され有毒化してしまいます。

そして中毒症状を起こし、最悪は死に至る場合があります。

症状は、時間の経過とともに変化します。飲んでしまってから約30分から1時間経つと、元気喪失、運動失調、ナックリングなどの神経症状、発作、嘔吐、体温低下などが起こります。

その後、6時間から12時間経つと、頻呼吸、頻脈などが起こり、24時間から72時間経つと高窒素血症、血尿、無尿、嘔吐などの急性腎障害のような症状になってしまいます。

体に障害作用を与える量として、犬では、4~6ミリリットル/kgと言われています。

少ない量でも危ないので、絶対に飲ませないよう注意します。

タバコ

ニコチン中毒や、よだれの垂れ流し、嘔吐、下痢、呼吸促迫、放尿、流涙、起立不能になります。

植物の大きな種

桃や梅の種など、小指の頭大程度の大きさの植物の種は、消化されずに腸に達して、腸閉塞の原因になりかねません。

桃や梅の種などは、自然のものだから消化するのではと思う方もいるかもしれませんが、これらの種は消化吸収されません。冑や腸などの消化管にいつまでも残り、ときには閉塞の原因になる場合があります。

そのまま便として排出される場合もありますが、私の経験上、詰まることの方が多いです。そのときは外科的に腸を切開して、取り出すしかありま。

生のイカやスルメ

生のイカの内臓には、ビタミン別が破壊される酵素が含まれていて、もし大量に摂取すればビタミンB1欠乏症を引き起こす可能性があります。

ただし、加熱処理をすればビタミンB1の破壊は起こりません。

もし与える場合は、しっかりと加熱処理したものであれば大丈夫です。

またイカやスルメは比較的消化が悪い食べ物なので、大量に食べると下痢などの消化器障害を起こすことがあります。

チョコレート

テオブロミンという成分の中毒症状が出る、食べさせてはいけない食材。

症状は嘔吐、下痢、不整脈など犬によってさまざまで、命を落とすことさえあります。

微量なら問題ないとされますが、個体差があるので人間の食べ残しにも注意を。

また、ビターチョコの方がテオブロミン含有量が多く危険とされています。

アボガド

最近は一般家庭の食卓にのぼることもめずらしくなくなってきたフルーツなので、食べたがる犬もいるかもしれません。

しかし、アボカドには中毒症状を引き起こす成分が入っているため、与えるのは避けたほうがいいです。

アボカドの成分を配合したフードもありますが、こちらは成分が調整されていて問題ありません。

ナッツ類

ナッツは、古くなるとカビが生えてアフラトキシンという猛毒が発生する可能性があります。

これは人間にとっては発がん物質ですが、体の小さい犬は致死することで知られます。

とくに輸入品は、原産国の段階から汚染されている場合があり、避けた方が無難です。消化が悪く冑にとどまりやすいので、与えるのは無意味です。

ネギ類


ニラやニンニクも含むネギ類は「アリルプロピルジスルフィド」という成分が含まれています。

人には問題ないのですが、犬がアリルプロピルジスルフィドを含んだ食物を食べると、赤血球を破壊されてしまいます。

だいたい食べてから2日ぐらいで発症し、真っ赤な尿がでるとともに、貧血を起こします。

ただし個体差が大きく、敏感な犬だとネギ入りのみそ汁の汁をひとなめしただけで発症しますが、鈍感な犬だと、タマネギ入りハンバーグを丸ごとたいらげても平気だったりします。

愛犬がネギ類を食べてしまったら、「少ししか食べていないから、だいじょうぶだろう」などと安易に判断せず、念のため動物病院で検査を受けましょう。

烏や大きな魚の骨


犬は強力な胃酸で骨を溶かしますが、とがった骨は食道や胃、腸を傷つけることがあります。

消化器官には雑菌がたくさんいるので、とがった骨で穴が開くと、急性腹膜炎を起こして短時間で死に至ることもあるのです。

よくあるのは、飼い主が危険を知らずに与えてしまったケースや、台所の生ゴミを夜中に漁って食べてしまったケースです。

フライドチキンのようなブロイラー( 食肉用のニワトリ)の骨はやわらかいので溶けやすいのですが、それでも危険です。

食いしん坊の犬がフライドチキンを丸呑みしたあげく、頚部食道に骨が引っかかってしまったケースもありました。

水を吸ってふくらむもの(干しアンズ等)


犬が、乾いた状態の干しアンズなどをお腹いつぱいに食べると、胃液を吸って数倍にふくれあがります。

すると胃がパンパンにふくれあがり、「胃拡張」を起こします。程度によりますが、私が以前見たケースでは、胃拡張のショックでその犬は死亡しました。

ふくらむうえに毒性もあるもの(レーズン)


レーズンはふくらむこと以外の危険として、腎臓への毒性があることが最近わかっています。

レーズンは糖分が多く味も濃いため、胃炎を起こしやすいのも問題です。干していないただのブドウにも同様の毒性はありますが、レーズンのほうが危険とされています。

これは、レーズンが干されて体積が減っているため、袋ごと盗食すると大量に摂取してしまうからです。生のままでは、そこまでの量を食べることはあまりありません。

ちなみに、体重1kgあたり10~309の摂取で中毒を起こします。類似する食べ物でも、同じことが起きる可能性があります。

甲殻類・貝類

ビタミンB1を分解する酵素があるため、さまざまな症状を引き起こす日欠乏症になる可能性があります。

また消化が悪く、下痢や嘔吐を起こしやすいです。

酵素は加熱調理で破壊できるので日欠乏症の心配はなくなりますが、基本的には避けましょう。

ただし、シジミエキスは肝臓保護のために与える場合もあります。

ほうれんそう

ほうれんそうは、結石の原因となるシュウ酸を多く含むので、ゆでてシュウ酸を減らすことが大事です。

また犬は、繊維質の分解がとても苦手なので、ピューレ状につぶしてあげないと消化不良のおそれも。

このように手間がかかるので、ほぼ出番のない食材です。鉄分摂取が目的なら、サプリメントや注射の方が確実でしょう。

ハチミツ

低血糖で倒れたときなどに緊急措置として与える程度で、日ごろの食事にハチミツは必要ありません。

また低血糖が心配なら、動物病院でブドウ糖液を処方してもらうほうが確実なので、ハチミツを与える機会はほぼないでしょう。

むしろボッリヌス毒素による中毒症状が懸念されるので、与えない方が無難な食材です。

キシリトール入りの製品


人の虫歯予防で有名な物質ですが、犬にとっては「肝臓毒性」(肝臓にダメージを与えること)があります。

日本ではまだ認知度が低く犬用のおやつにけつこう混ぜられていますが、含有量が少ないせいか、あまり問題にされていません。

しかし、人が食べるキシリトールガムは「わずか数枚でも危険」との報告もあります。

あまり与えない方が良いもの一覧

にぼし

魚介類に共通の水銀濃度の心配をのぞけば、とくに問題のない食材です。小骨はカルシウム摂取にもよいので、品質のよいものを少量だけ与える分は、犬も喜び歯も丈夫になる、いいおやつです。

ただし小骨といっても固いので、犬が丸飲みしても問題ないサイズまで、あらかじめ小さくカットしてあけるとよいでしょう。

梅そのものは薬効効果があり、抽出成分がサブリにもなっているぐらいによい食材なのですが、一般家庭では与えにくいでしょう。

種を飲み込んでしまうと、動物病院で吐かせる処置が必要になるかもしれないので、まるごと与えないでください。

また、市販されている塩漬けの梅ぼしは、塩分があまりにも多いため、NGです。

豆腐・おから

人間の世界では、カロリーの低い食材として知られていますが、犬の世界ではそうでもありません。

健康被害はとくにありませんが、豆腐やおからをしっかり食べ続ける犬は、じょじょに太っていく傾向があるようで、ダイエットとしては逆効果です。

なお、豆腐・おからは、ドッグフードにもしばしば配合されます。

こんにゃく

ノンカロリーなので、食事のかさ増しをするダイエット目的でよく使われます。

しかし消化できない食材のため、大きいまま飲み込むと胃がもたれやすいです。そのため細かく刻む必要がありますが、めんどうな場合は糸こんにゃくをざく切りにするとよいです。

ただし、適正体重の犬には、わざわざ与える必要もないでしょう。

牛乳

犬は乳糖を分解できないので、下痢になりやすいとされますが、少量であればそれほど心配にはおよびません。

ただし下痢をしていない犬でも、うまく乳糖分解できていない可能性があります。

また牛乳はカロリーが高いので、がぶがぶと飲ませると太りやすいです。

日常的に飲ませるなら、犬用のヤギミルクがよいでしょう。

生の魚

魚類には、特別な毒性はありません。

ですから、スーパーで売っているような刺身であれば、アレルギーさえなければ問題なく与えても大丈夫です。

ただし、まぐろなど赤身の魚はあまりオススメできません。アレルギーをひき起こす可能性のある、ヒスチジンの含有量が比較的多いためです。

犬が食べてはいけないものを食べてしまったら

中毒症状を引き起こす食べ物、口に入れると危険な異物をもしも食べてしまったら、すぐにかかりつけの病院へ連れていきましょう。

飲み込んだ物によりますが、病院では冑洗浄や催吐剤、吸着剤、緩下剤、解毒剤の投与など治療を行い、対処します。

ただし、すべてのものに解毒効果があるわけではありませんので、日頃から毒性のあるもの、危険なものはワンちゃんの手の届かない場所に置いておき、家の中の掃除は小まめにしておきましょう。

病院に行く際には、何を飲んだのか、飲み込んだ時間、量、異物の大きさを飼い主さんがきちんと把握し、事前に電話などでお医者さんに伝えるようにしてください。

可能であれば、誤飲した実物があると、より対処がしやすくなります。薬や化学製品の場合は、成分が記載されている箱や容器を持参することを忘れずに。最も大切なことは、飼い主さんパニックになってはいけないということ。

冷静な判断こそが愛犬の命を救うのです。

人の食べ物が入っているビニール袋を丸ごと食べた場合

意外に多いのがこのトラブルです。中身はそれほど危険でなくても、ビニール袋ごと食べてしまっては、消化できるはずもありません。

うまく吐ければいいのですが、詰まってからでは遅いので、催吐、内視鏡による摘出や胃の切開術を検討します。

人の食卓からおこぼれをもらう習慣がある犬は、うっかり落としたおかずを食べたり、場合によっては食卓から食べ物を引きずり降ろしてまで盗食したりします。

害のないものを選別して与えているつもりでも、そもそもこのようなスタイルが、一歩間違えば事故を呼ぶわけです。

盲導犬並みに「絶対服従」を叩き込んでいる家庭はまずありませんから、人がご飯を食べているときは近くに寄らせないことが大事です。

見えなければ、甘えた表情でほしがる様子に、こちらの心が揺れることもありません。台所への侵入も柵で防ぐなどして、買ってきてから冷蔵庫へ入れるまでの間に、床に置いた食材を荒らされないようにしてください。