ドッグフードに含まれるオイルコーティングの役割と油抜きの方法

ドッグフードの原材料をチェックすると、ほとんどの商品で動物性油脂や植物性油脂が使われています。ワンちゃんの毛艶を良くするにはある程度の脂質も必要ですので、そのための添加だと思っている人もいるようですが、実はこれらの油はドッグフードをオイルコーティングするために使われています。

このオイルコーティングは、もちろん意味があって行われているのですが、それによって弊害も出てしまいます。ドッグフードの安全面だけを考えた場合、オイルコーティングしないほうがいいと言う専門家もいます。

ここではそんなドッグフードに含まれるオイルコーティングについて、その役割とデメリットについてご紹介します。また、すでにオイルコーティングされているドッグフードの油抜き方法についても説明しますので、ぜひ参考にしてください。

なぜオイルコーティングをするの?

市販されているドッグフードのうち、ほとんどのドライフードは製造過程でオイルコーティングされています。原材料から加工されて、乾燥したのちの最終工程でドッグフードの表面に植物性油脂や動物性油脂を吹き付けてコーティングします。

ドッグフードを製造するにあたって、なぜこのオイルコーティングが必要になるのでしょう?その理由は2つあります。

  • 風味を付けて嗜好性を高める
  • 脂質を添加して栄養バランスをとる

これらの2点は、売れるドッグフードを作るための必須条件とも言えます。なぜこの2点が重要なのか、それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。

オイルコーティングすると食いつきが良くなる

ドッグフードはその製造過程で加熱や加圧をするため、どうしても風味が落ちてしまいます。犬は香りで食べ物を選びますので、風味が飛んでしまったドッグフードはどうしても食いつきが悪くなってしまいます。これを改善するために、最終工程で風味付けに油をコーティングします。

ドッグフードを選ぶときの基準として、食いつきの良さを重視する飼い主さんも多く、反対に食いつきが悪いドライフードは売れ残ってしまいます。とにかく食べてもらわないことにはドライフードは売れませんので、各メーカーは嗜好性を高めるためにオイルコーティングをしています。

脂質を添加しないと基準を満たせなくなる

加熱過程でどうしても油が飛んでしまい、栄養バランスとしての脂質が不足します。脂質があると太ってしまうから、低脂質でいいじゃないかと思うかもしれませんが、脂質は私たち人間にとってもワンちゃんたちにとっても必要な栄養素のひとつです。

実際にAAFCO(米国飼料検査官協会)のガイドラインでは、脂質の割合を5.5%以上(子犬は8.5%)と規定しています。ところが、ドライフードを作る過程で加熱や加圧をするため、そのままの状態ではこの基準を満たせないため、オイルコーティングを行っています。

AAFCOは以下の記事で解説しています
ドッグフード品質基準AAFCOって一体なに?安全安心の証拠?

時間をかけて製造すればドライフードでも脂質が失われることはないのですが、それでは大量生産には適さず、ドライフードの値段が上がってしまいます。できるだけ短時間に作るには、どうしても一気に加熱・加圧する必要があり、脂質を添加しなくてはいけなくなるというわけです。

オイルコーティングは安全?それとも危険?

ここまでの説明ですと、オイルコーティングはとてもメリットがあるように思えます。食いつきが良くなって、栄養バランスも保てるのですから、ワンちゃんにとっても飼い主さんにとってもメリットがあります。メーカーも低コストで作れますので、ドライフードの価格を下げることもできます。

でも、このオイルコーティングにはひとつ大きな問題があります。それは、油は空気に触れると酸化するということです。酸化というと少し難しく感じるかもしれませんので、ここでは「酸化=劣化」と考えてもらってもかまいません。

油が酸化すると過酸化脂質という成分が作られます。この過酸化脂質は肝臓に負担をかけてしまい、動脈硬化を引き起こします。さらには酸化によって見た目も悪くなりますし、あまり好ましくない臭いも出てしまいます。

そのような酸化を防ぐために、オイルコーティングしたドッグフードには酸化防止剤が使われています。酸化防止剤は油と酸素が結びつくまえに、自らが酸素と繋がるという性質があります。このため油が劣化することなく、開封したドッグフードでも長く品質を保てるというわけです。

ここで問題になるのが酸化防止剤です。酸化防止剤には様々な種類がありますが、そのうちのいくつかは発がん性があるため、私たち人間の食べ物には使用が認められていないものも含まれています。

その代表的な酸化防止剤がエトキシキンとBHTで、他にもBHAや緑茶抽出物などの大量に摂取したときに危険があるとされている添加物もドッグフードに使われています。これらは、ドッグフードを安く作るためには必須の添加物ですが、ドッグフードの安全性を下げてしまいます。

天然由来の酸化防止剤なら、あまり危険性はありませんが、それらは酸化防止効果が低くオイルコーティングの酸化が進んでしまいます。良かれと思って添加された油が、このような複雑な状況を生み出しています。

メリットのあるオイルコーティングですが、このような弊害があることもしっかりと頭に入れておきましょう。

ドッグフードの油抜きをおすすめする理由

ドッグフードの安全性を考えたときには、危険な酸化防止剤の含まれていないドッグフードを使いたいですよね。でも、そうなるとオイルコーティング部分の酸化が進んでしまいます。そんなドッグフードを愛犬に与えたくはないですよね。

でも、このケースで劣化しているのはコーティングされたオイルだけですので、油抜きしてしまえば、安心して与えることができます。油抜きの方法は次章で詳しくご紹介しますが、油だけを分離できるなら動脈硬化などの心配もなくなります。

また、肥満気味のワンちゃんの場合には、油を抜くことでダイエット効果も期待できます。脂質は必要な栄養成分とお伝えしましたが、最近のドッグフードは脂質が多すぎて、ワンちゃんが太ってしまうというケースが目立ちます。

油抜きをすることで脂質量を抑えることができますので、自然とダイエットできるというわけです。そういう意味では、太っていないワンちゃんに与えるドッグフードの油抜きはおすすめしません。その場合の対処方法については後ほど説明しますが、油抜きをすると脂質不足になる可能性があることだけは頭に入れておいてください。

もちろん、購入したばかりのドッグフードも油抜きをする必要はありません。ドッグフードの油抜きは、オイルコーティング部分の酸化が始まっている場合に行うものであり、むやみに行うと栄養バランスが崩れてしまいますので気をつけてください。

ドッグフードを油抜きする方法

ドッグフードの油抜きはとても簡単です。ドッグフードをザルなどに入れて、熱湯に30秒程度くぐらせるだけでOKです。料理で油抜きをしたことのある人は、それと同じ要領で行ってください。油は温度が上がるとサラサラになりますので、それだけで表面の油は流れ落ちてくれます。

大事なのはその後です。油抜きしたドッグフードをワンちゃんにすぐ与えてしまうと、舌やノドを火傷してしまいます。しっかりと人肌くらの温度にまで冷ましてから、ワンちゃんに与えるようにしましょう。

このとき、オイルがなくなっていますので、そのままの状態よりは風味が不足します。そうなると今度は食いつきが悪くなる可能性があります。これも何度も繰り返していれば慣れてくれるのですが、最初はほとんど食べずに残してしまうケースもあります。

残ったドッグフードは、もったいないですが捨てるようにしてください。もったいないからといって、そのまま残していると雑菌などが繁殖し、それを食べてお腹を壊してしまうこともあります。最初は食いつきのいい缶詰などをトッピングしてあげるのもおすすめです。

また、繰り返しになりますが、油抜きをすると脂質が不足します。肥満気味のワンちゃんならちょうどいいのですが、もし肌のハリがなくなって、毛艶のコンディションも悪くなってきたら、油抜きは中止するか、酸化していないサプリメントオイルなどを添加してください。

ノンオイルのドッグフードを選ぼう

メリットもあり、デメリットもあるドッグフードのオイルコーティング。ワンちゃんのためにあれこれ考えられた結果ですが、オイルコーティングされていることで、飼い主さんはあれこれ気を使わなければいけなくなりました。

安全な酸化防止剤が使われているかを確認し、天然由来の安全な酸化防止剤を使っていた場合は、オイルコーティングが酸化したときに油抜きまでしなくてはいけません。油抜きをすると、今度は脂質不足にまで気を使わなければいけなくなるなど、面倒なことが連鎖的に発生しています。

そもそもオイルコーティングが必要なのは、ドッグフードを安価に大量生産するからです。そう考えると、時間をかけて丁寧に作られたドッグフードであれば、オイルコーティングの必要はなく、このようにあれこれ考えなくても済みます。

実際にプレミアムドッグフードと呼ばれるドッグフードでは、ノンオイルの製品もラインナップされています。価格は高めですが、原材料にこだわっているためノンオイルでも食いつきがよく、何よりもワンちゃんたちの健康を重視して作られているので安心です。

安価なドッグフードを購入してオイルコーティングに悩まされるよりは、価格は高くても手間のかからないノンオイルのプレミアムドッグフードのほうが便利で安心です。ドッグフードにかけられる費用にも限度があると思いますが、愛犬にいつまでも健やかにいて欲しいと望むのであれば、ノンオイルのドッグフードも選択肢のひとつとして考えてみましょう。