本来、「おやつ」という概念は、人以外にはありません。人以外の生き物は、お腹がすいたら必要なだけ食物を食べるだけです。

ところが犬は人に飼われるようになり、現在では使役動物ではなく、愛玩動物として扱われています。そして、愛玩動物化した犬は、食生活の乱れを無視できなくなってきています。

動物が健康でおやつの量も許容範囲内であり、問題行動も起こしていなければ、獣医は別にあまりうるさいことをいいません。

しかし飼い主のおやつのあげすぎが原因で、犬の体に問題が発生している場合は、断固制限するよう指導されます。

犬におやつをあげる時の注意点

以下の2つの理由で、飼い犬に必要以上のおやつをあげている飼い主は要注意です。

おやつを留守番やしつけなどのごほうびとして与えている

犬社会での上下関係は、食べ物によってつくられるものではありません。ボスである飼い主が「ヨシヨシ」となでて抱きしめてあげるだけでも犬は十分幸せであり、使命を遂行した満足感を得られます。

食べ物でいうことをきかせる方法は、しつけのきっかけに使うならともかく、ずっとそのままでは、いつか愛想をつかされます。人間でいえば、「孫の歓心をおこずかいで買うおじいちゃん、おばあちゃん」、もしくは「援助交際」と同等です。

ボスと部下は、ものに頼らない厚い信頼で結ばれていなければなりません。どうしてもおやつに頼らなければいけない場合は、最低限に抑えるように意識してください。

おやつをほしがるし、かわいいので、ついあけてしまう

一向にやせないペットがたくさんいます。

たいては、飼い主や家族がどうしても欲求に勝てず、犬におやつを与えてしまう場合が多いです。

口をそろえて「ほしがっているのにあげないなんてかわいそうで」といいますが、食べすぎて体を壊すほうがもっとかわいそうです。

犬は栄養価にすぐれたドッグフードをもらえていれば、それで十分幸せな部類に入るのです。

しかし理屈で説明しても、どうしても聞き入れてくれない人がいます。

残酷な表現ですが、心を病んでいる人がペットにおやつを与えることで心の安定を保てるのであれば、その犬は飼い主の心の隙間を埋めるものとしての役割を十分に果たしているのかもしれません。

こういう飼い主が相手の場合、改善しないことが多いのが現状です。

度を越しておやつばかり与え続けるとどうなるか

犬はもともと甘いものが大好き・お菓子の味に慣れさせると、そればかり欲しがり、ふだんの食事を食べたがらなくなってしまう傾向があります。ですから、基本的にはお菓子を常食させることはおすすめしません。

だからといって、一口も食べさせてはいけないというわけではないのです。

犬は人間以上に雑食性の強い動物です。健康な犬なら年に数回、おかしを口にするくらい全く問題がありません。

ときには旅行先でソフトクリームをあげたり、お誕生日にケーキを食べさせたりということがあってもいいでしょう。

ただし、肥満を防ぐためにもカロリー過剰には要注意。お菓子を与えたときはいつもより運動量を増やすなど、コントロールしてください。

与えすぎると以下のような問題になってしまいます。

主食を食べなくなって栄養が偏り、肥満と病気の原因に

おやつは一般に栄養バランスを無視して、とにかくおいしくなるように開発されています。

犬の中には、一度極上の味を覚えてしまうと、二度とふつうのドッグフードを食べなくなるものもいます。

中高年以降、内臓のどこかを患って処方食を食べなくてはいけなくなったときも例外ではありません。へたをすると、死に直結する問題に発展します。病的な肥満状態にある犬も、おやつ食べ放題である場合がほとんどです。

添加物が多いため、肝臓障害やアレルギーの引き金になる

乾燥した保存食であるドライドッグフードや、加熱滅菌された缶詰と違い、おやつや半生ドッグフードは、ソフトな食感がウリの製品もあります。

しかしこれらは、着色料や保存料など人工的な物質が食盛りになっていると考えてください。

健康に配慮して添加物を抑えたと称する商品もありますが、人の食べ物でさえ偽装が堂々とまかり通る世の中です。

なにが入っているか見た目ではわからない以上、食べずにすむならそれが一番よいのですが、どうしてもあげたいのであれば、純国産の無添加のおやつを選びましょう。

消化不良の原因となる

胄腸が弱い犬だと、丸飲みしたジャーキーやガムがなかなか消化されずに、腸に詰まってしまうことがあります。もちろん最終的には溶けるのですが、その前に腸を激しく損傷してしまい、壊死することもあります。

特に、食べ物由来でなにか既往歴がある犬には、十分な注意が必要です。

とかく人間の食い道楽の考え方を動物にあてはめがちですが、この世にもっとおいしい食べ物があることを教えなければいいだけです。いろいろな物を食べる楽しみを得れば、同時にさまざまな病因をも取り込むということを理解してください。

おやつはここぞという時にだけあげよう

おやつと聞いて、最初に思い浮かべるのが牛や豚、鶏などを使ったジャーキーではないでしょうか。現在ではジャーキー以外に無添加の素材をつかったクッキーやきれいにデコレーションしたスイーッなど数多くの商品が販売され、飼い主さんも選ぶのが楽しくなってしまうことでしょう

あくまでもここぞという時に与える「ごほうび」や「トレーニング」として、食べさせましょう