プレミアムドッグフードにあえて穀物を配合する目的

最近のドッグフードは、スーパーやホームセンターなどで売られている格安のドッグフードと、ネットショップでしか買えないようなプレミアムドッグフードの2極化が進んでいます。プレミアムドッグフードはワンちゃんの健康を維持するために、化学物質を不使用にし、原材料にもこだわっています。

海外のプレミアムドッグフードの多くは、穀物を使わないグレインフリーの商品がほとんです。犬には穀物を与える必要はないという考えがベースにありますが、一方でプレミアムドッグフードの中にも穀物を配合している商品もあります。

なぜそのように穀物を使う商品と使わない商品があるのでしょう?ここではプレミアムドッグフードにあえて穀物を配合する目的について詳しく説明します。

ドッグフードにおける穀物の役割

犬は狼から枝分かれした動物ですので、そもそもは肉食であり穀物は食べる必要はないとされています。ところが、市販されているドッグフードのほとんどに穀物が使われています。そもそもなぜ、ドッグフードに穀物が使われるのでしょう?ドッグフードにおける穀物の役割について見ていきましょう。

ドライフードを成形するのに必要

総合栄養食として使われているドライフードの多くは、丸い粒の状態になっています。この粒に肉や野菜、その他の栄養成分を閉じ込めているわけですが、この形状を作るためには小麦粉などの穀物が適しています。

ドライフードを、小さなクッキーのようなものだと考えてもらえれば分かりやすいかと思います。もし小麦粉なしで作ろうとすると、他の食材をきれいに小さな粒としてまとめることがとても難しくなり、さらには簡単に型くずれして粉状になってしまいます。

ドライフードはきちんと粒上になっているから食べごたえがあり、そして最後までしっかりと食べてくれます。食べやすさも考慮すると、穀物を使って粒上にするというのはとても合理的で、製作上のコストダウンにもつながります。

食物繊維を摂って便通を良くする

穀物には多くの炭水化物が含まれますが、食物繊維も含まれていてワンちゃんのお通じを良くする効果が期待できます。食物繊維を摂ることで腸内環境を整えることができますし、腸に溜まった有害物質を取り除いてくれます。

さらには、食物繊維は栄養成分の吸収を抑える効果もあるため、肥満気味のワンちゃんに与えることで、ダイエット効果も期待できます。ワンちゃんの栄養管理を行うためには、食物繊維は必須ともいえる栄養成分で、穀物はそれを補うことができる食材として使われています。

ドッグフードの原材料費を安くできる

プレミアムドッグフードではなく、市販されている格安のドッグフードによくあるケースですが、とにかくドッグフードを安く作るために穀物が使われています。ドッグフードの原材料費を考えたとき、肉を多く使うとコストアップになり、穀物を多く使うとコストダウンになります。

ドッグフードは人間が味見するわけではありませんので、多くの飼い主さんは安さを重視して選びます。そのため、できるだけ他社よりも安いドッグフードを作らないと、まったく売れないという時代がありました。

このため、ドッグフードメーカーはとにかく安く作ることを求められ、その結果として原材料費の安い穀物を大量に使うようになりました。最初は成形するためだけに使われていた穀物ですが、価格競争が激しくなったことで、原材料費を抑えるためにも使うようになったというわけです。

プレミアムドッグフードになぜ穀物が使われるのか

一般的なドッグフードに穀物が使われるようになった理由は、ここまでの説明で理解できたかと思います。でも、グレインフリーが主流になりつつあるプレミアムドッグフードでも、あえて穀物をつかっているケースがあります。なぜそのようなプレミアムドッグフードにも穀物を使っているのでしょう。

その背景にあるのは、穀物は必ずしも悪ではないという考え方です。犬の祖先である狼は肉食で、穀物は食べていないのだから犬も穀物は必要ないという理屈が、「穀物=悪いもの」につながっていますが、犬は狼ではなく雑食だと主張する人もいます。

実際に犬は雑食ですし、ドッグフードが定着する前は人間の残したご飯などを、あたり前のように食べていました。犬の胃は穀物を消化しにくいとされていますが、消化できないというわけでもありません。要は量の問題で、消化しきれないほど与えなければ問題ありません。

問題ないのであれば使わない理由はありませんよね。ドッグフードの成形が簡単になりますし、食物繊維を摂ることもできます。さらにはドッグフードの価格が必要以上に上がることを回避できます。ちゃんと消化できるならデメリットはないわけです。

このため、プレミアムドッグフードでも全てのメーカーが穀物を排除しているわけでなく、バランスのいいドッグフードを作るために、あえて穀物を配合しているというわけです。

グレインフリーのプレミアムドッグフードが多い理由

プレミアムドッグフードでも穀物を使っているメーカーがあるのは理解できても、やっぱりグレインフリーが現在の主流ですし、多くのメーカーが穀物を使わないドッグフードを作っています。穀物が必ずしも悪いわけではないのに、なぜグレインフリードッグフードが増えているのでしょう。

小さなドッグフードメーカーは、大手メーカーにはない特徴がないとドッグフードを買ってもらえません。そこで打ち出したのが「グレインフリー」という考え方です。大手メーカーとの差別化をはかるため、穀物を使わないドッグフードの開発をおこなっています。

その結果、製造技術が向上したことで、穀物を使わなくても粒が崩れないドッグフードを作れるようになりました。作れるなると、次は穀物を使わないことを正当化するための理屈が求められます。そこで「犬はもともと狼である」という考え方を使って、穀物が不要であることを主張しています。

穀物過多なワンちゃんのドッグフードをグレインフリーのドッグフードに変えることで、皮膚トラブルなどが改善したという例がいくつもあります。そうなると「グレインフリーは素晴らしい」となるのですが、実際には穀物を適量にまで減らしただけでも、それらの問題は解決します。

ただ、どれくらいの量が適切なのかはとても複雑な話になりますので、穀物を使わないとするほうがシンプルで分かりやすく、訴求効果が期待できます。このためプレミアムドッグフードの多くが、グレインフリーであることをアピールしています。

穀物使用のプレミアムドッグフードを選ぶときの注意点

穀物を使用したプレミアムドッグフードも、商品によっては問題ないということを理解してもらえたかと思いますが、とはいえすべての商品がワンちゃんに適しているわけではありません。あまり品質が良くないドッグフードもありますので、ここでは高品質のドッグフードを選ぶときに気をつけたいポイントをご紹介します。

原材料の1番目が肉になっていること

まず重要なのは原材料の1番目が肉になっていることです。パッケージの原材料は使用が多いものから記載されます。このため、穀物が1番目に書かれているということは、必要以上に穀物を使っていますので、きちんと消化しきれない可能性があります。

穀物を使うこと自体は問題ないのですが、あくまでも適量であることが大切です。そして、ドッグフードのメインはやはり肉であるのが理想です。このため、原材料をチェックして、肉の順番が1番目になっていることを確認しましょう。

合成添加物や合成着色料を使っていないこと

プレミアムドッグフードとしながらも、合成添加物や合成着色料を使っているドッグフードがあります。これらは穀物の有無関係なしに、本当のプレミアムドッグフードとは言えません。BHTやBHA、エトキシキンなどの酸化防止剤や、赤色◯号などの着色料が入っているドッグフードはプレミアムドッグフードに分類されていても選ばないようにしましょう。

アレルギー反応がある場合にはグレインフリーに切り替える

穀物を使用したプレミアムドッグフードのほうが、安くて財布に優しいというのもあります。ただ、それでワンちゃんの体に負担がかかるようでしたら意味がありません。小麦粉やとうもろこしはアレルギーになる可能性があるというのは、プレミアムドッグフードでも変わりません。

食べさせて体調が悪くなるようでしたら、すぐに使用を中止してください。皮膚トラブルなどが見られる場合もNGです。体に異変が出た場合には、そのドッグフードが合っていないということになります。穀物が原因ではないかもしれませんが、その場合はグレインフリーのプレミアムドッグフードに切り替えましょう。

良質なプレミアムドッグフードであれば穀物を使っていても大丈夫

グレインフリーのドッグフードを作っているメーカーが、「穀物は危険」というような情報発信をしているため、穀物は絶対に与えてはいけないものという印象がついていますが、決して食べてはいけないことはありません。

例えば日本人は肉を消化するのが苦手ですが、肉を食べられないわけではありません。ワンちゃんも穀物を消化するのは苦手ですが、食べることはできます。ただ、食べ過ぎると内臓への負担が大きくなりますし、食べないで済むならそれがベストではあります。

このため、品質の良いプレミアムドッグフードであれば、必要以上に穀物を使うこともなく、それでいて価格面も無理のないものになっています。このようなドッグフードなら、穀物に対して神経質になる必要はありません。

グレインフリーは確かに理想のドッグフードですが、継続して買い与えるのは経済的な負担も大きいのも事実です。「絶対にグレインフリーでないといけない」という思い込みは一度手放して、柔軟な考え方でプレミアムドッグフードを選ぶようにしましょう。