一般的に老齢期と呼ばれるのは、小型犬で12歳、中型犬で11歳、大型犬では10歳くらいからです。老化とともにカラダの機能も確実に衰えるので、高齢期同様、体調に合わせた食事管理が重要なことは言うまでもありません。

老齢犬の場合、食が細くなることがりますが、その際は、単に老化のせいなのか、カラダに異常があるのか、原因を知ることが大切です。

歯が弱くなって抜けてしまったり、歯周病などの痛みが原因の場合もあるからです。硬いドライフードなどは、ぬるま湯などでふやかして与えると食べやすく、消化を助け、水分の補給にもなります。また無塩の鶏ガラスープなどをかけると、さらに嗜好性が高まります。ふやかす時に牛乳を使うと下痢を起こす犬もいるので避けましょう。

シニアドッグフードは低カロリーのためにタンパク質を減らしてはいけない

現在市販されているドッグフードの多くに、年齢別のラインナップが設定されています。

その中でシニア犬用(7才~)のドッグフードは、成犬用(1~6才)に比べ、タンパク質、カロリーともに低くおさえられていることがほとんどです。

しかし、それでは必要なタンパク質の量を補うことができず、きちんと食べているにもかかわらず、栄養不足で痩せてしまう可能性が指摘されています。

また、単純にカロリーを低くおさえるためにタンパク質のもととなる肉類の含有量を減らし、代わりにトウモロコシや小麦、大豆などの穀物を増やした製品もあります。

このようなカロリー重視のバランスでは、肝心なタンパク質が不足するだけでなく、穀物の量が増やされていることで、かえって胃腸に負担をかけてしまうかもしれません。

成犬の頃に比べてシニア犬は体力が落ちています。そんなときに免疫力まで低下してしまったら、様々な病気を引き起こしやすくなり、また治りにくくなってしまうのです。

老犬(シニア犬)におすすめのドッグフードとは

老犬にとって最適なドッグフードは、原材料に筋肉や内臓、血液を作るための動物性タンパク質が多く含まれ、消化の悪い穀物や人工の添加物が使われていないものを選択するべきです。

そして免疫力を上げる効果の高いオメガ3脂肪酸を含む油脂や、衰えていく関節に配慮したコンドロイチンやグルコサミンなどの成分が含まれていることも、重要なポイントではないでしょうか。

何度も言いますが、老犬に「低タンパク質ヘルシー」は間違いだということを覚えてください。ドッグフードを年齢表示で選んでいる場合に心配なのが、「動物性タンパク質不足」です。

シニア犬用ドッグフードというのは、肉類などの動物性タンパク質の割合を減らし、穀物の割合を増やしたものです。

「年をとったら肉を減らしてヘルシーに」と聞くと、なんとなくよさそうですが、これはサルから進化した人の栄養学の押し付けでしかありません(最近は人間の栄養学でも、年をとっても肉を食べようという論調も増えていますが)。

穀物を中心としたヘルシーなフードでは、シニア犬は動物タンパク質の不足に陥ります。動物性タンパク質不足は、筋肉を細らせ、特に後ろ足にダメージを与えます。後ろ足が弱ってしまうと立つことができず、寝たきりとなってしまうのです。

野生の動物が老化によって、寝たきりになることはありません。

寝たきりを生み出しているのは、私たちが与える毎日のフードなのです。逆に、寝たきりとなった犬に肉を多めに与えると回復するケースが多いのもそのためです。私は、治療の一環として生肉を食べさせることがありますので高齢の犬にはたまに生肉を与えても良いと思ってます。

亡くなりそうなシニア犬に生肉を与えると元気になった例もある

ある日友人から「飼い犬があと数時間後に死ぬと言われた」と連絡がありました。14歳のミックス犬の男の子、ココちゃんは、老衰で立ち上がれないどころか、何も食べられない、といいます。

そこで、「生のステーキ肉をぶつ切りにしてあげて」と伝えました。友人は、「もう何も食べないのになあ」と思いつつ、肉を用意し鼻先に持っていったところ、ココちゃんはがつがつと食べ始め、むくつと立ち上がったそうです。それから半年間、寝たきりになることなく余生を過ごせたといいます。

このように今まで自力で立てなかった子が、肉食に変えたことで立てるようになったという例を、私は今まで頻繁に経験してきました。ただし、肉の与え方には注意が必要です。

肉とビタミンで症状が改善した例もある

15歳の柴犬、マロン君は認知症のため、昼夜が逆転していました。

マンションで飼われていたため、夜中にワォーン、ワォーンと泣き続けることは、飼い主さんには大問題。後ろ足の筋肉が弱りうまく立てないだけでなく、おむつをして、自分のこともわからない様子でした。この状態が、肉中心の食事と、ビタミンの栄養処方で、1週間で元に戻ったのです。

なぜ肉中心のフードで体調が良くなるのか

進化の過程で新しく獲得した穀物を代謝する能力より、肉を代謝する能力のほうが最後まで維持されます。

ドッグフードであれば、弱ってきた老犬には、消化しやすい肉、つまり良質の動物性タンパク質を多く含んだものがおすすめです。

そうすることで筋肉を維持し、寝たきりの予防になるばかりでなく、認知症の心配も減らすことができます。体のことを考えても、脳のことを考えても、「老犬には肉がいい」ということを覚えておきましょう。

つまり、ヘルシーなシニア犬むけドッグフードにするのではなく肉を多めにあげるか、肉が多めのドッグフードで筋肉を維持するようにさせることが大事ってことです。

老犬にあげたいおすすめの生肉

原料は馬肉ですが、こちらの商品はメインであげるものではなく食欲増進とエネルギー補給が必要なために与える方と良いとされています。
また、馬肉をあげたことがない犬に最初から与えすぎると下痢になってしまうのでドッグフード7馬肉3の割合で与えましょう。

シニア犬(老犬)におすすめのドッグフード

オリジンシニアドッグフード

オリジンドッグフード

原料は肉、魚、野菜などで、肉類を多めにしており穀類を使用していない「グレインフリー」の総合栄養食です。肉や魚は生もしくは乾燥したもので、ミールの使用はなく、人工保存料は不使用です。

原料は、パピー、アダルト、シニアで同じなので、ライフステージごとに配合比を調節しているのだと思います。オリジンフードは高タンパクなのが特徴で、高齢犬向けフードも例外ではありません。

アカナシニアドッグフード

アカナドッグフード

低脂肪・高カロリーフードのプレミアムフード。第1原料が鶏肉ミールで、そのほか、高齢犬の関節強化のために、鶏軟骨(コンドロイチミトン・グルコサミンの源)を使用しています。

与えるべきではないシニア向けフード

シニア向けのドッグフードでおすすめなのは「アカナシニアドッグフードと「オリジンシニアドッグフード」とお伝えしましたが逆に与えたら駄目なシニア向けドッグフードはどのようなものがあるでしょうか。

ペディグリーパウチシニア

ペディグリーパウチシニア

滅菌包装になっているため、防腐剤はしようしていませんが、フードをあざやかにみせるために不安な添加物のポリリン酸(発色剤)を使用しています。それによりクオリティーを下げている印象もあります。
このフードは、消耗性疾患や著しく食欲が落ちている時に食欲増進とエネルギー補給が必要なために与えるのが良いでしょう。

ヘルシーステッププラスワン

ヘルシーステッププラスワン

主原料は肉類(鶏肉、牛肉)のみで、野菜類は一切使用していません。保存料と着色料は無添加なのですが、見た目をあざやかにするために、発色剤を添加しています。
1缶100円前後と低価格なのは、商品のクオリティと原産国が中国であることが関係しているのかもしれません。

ビタワンダー

ヘルシーステッププラスワン

中国製造のウェットフード。介護食も意識して作られているようですが、パッケージの画像に野菜の粒が残っています。高齢犬の消化する力が弱まっていることを考盧しているのなら、野菜もムース状にするべきです。
酸化防止剤に使われているEDTAは、パッケージから溶出する成分の中和が目的と考えられます。いずれにしても不安要因が多いフードと言えるでしょう。

ドッグフードの切替タイミング

ドッグフードをいきなり全部切り替えるのは避けてください。これまでに数件、老犬版のドッグフードにしたら一気に老けてしまい、成犬用に戻したところ元気を取り戻した例がありました。

体の中は、まだ若かったのでしょう。

ドッグフードの最適な切り替えタイミングは個体差が大きいので、ある年齢になったとたん、いっぺんに変更するのはやめましょう。

また、明らかに弱っている部分(心臓が弱い、肝臓が弱いなど)を検査で特定できたのであれば、それに対応した処方食があるので、獣医と相談のうえ、適切な食餌を処方してもらうといいでしょう。

シニア犬の食事の回数

食事の回数は、成犬の場合、1日2回が基本ですが、老齢犬は、飲み込む力や消化吸収能力が衰えていることがあるため、1日の分量を少量に分け、回数を増やして与えてもよいでしょう。

ただし、ずっと食べっぱなしでは消化器官が働き通しになりかえって負担がかかりますから、1日に一度、必ず胄腸を休ませる時間を作ることも大切です。

また、犬の食事の姿勢は、足腰に案外負担がかかるもの。特に関節炎などの症状がある犬には、かなりつらい姿勢です。そこで、食器の位置を少し高くしてあげると、軽く首を下げるだけで楽に食べられるようになり、負担も軽くなります。

サプリメント(栄養補助食品)はどうなのでしょうか?

ペットショップには、弱った部分を助けるようなサプリメントが所狭しと並べられていますが、ものによっては効用や品質に疑問符がつく商品もあります。人でもそうですが、サプリメントは最後のおまけであって、順序からいえば、その犬に最適なドッグフードを与えることが肝心です。

よくわからないときは、与えようと思っているサプリメントの資料を担当医に見せて相談してみてください。